ステンレス製のねじについて

ステンレスとは、【Stain=しみ・汚れ + Less=少ない】という意味で、錆びにくい鋼です。

1.ステンレス鋼一覧

ステンレスにはその成分によって大きく2つの種類に分かれ 
組織的には3つに分かれてています。

Cr系 Cr  マルテンサイト系 SUS4xx 431,403,410,420,440.......
Cr系  18Cr  フェライト系 SUS4xx   430,405........
Cr-Ni系 18-8  オーステナイト系  SUS3xx      SUS2xx 304,304L,316.316L.....  

「ねじ」などにもっとも多く利用されるのはオーステナイト系 のSUSのあと、頭が 3 で始まる鋼種で、小ねじは線材SUS304相当の冷間圧造用鋼種線材 XM 7 が多く利用されます。
キャップ、ボタンキャップなどもXM7へ移行しました。
タッピングなどには主に焼きいれのできて硬いSUS410が利用されます。
一部のボルト、ナット、寸切ではまだ304の利用があります。

ステンレスの鋼種にはアメリカのAISIの記号ナンバーにあわせて3桁の数字で表すことになっています。日本独特の鋼種にはj1、j2などの連番がつきます。
この他析出硬化系SUS6xx(PHタイプ)、耐熱鋼板(SUH)、5%Cr系 SUS5xx などがあります。


オーステナイト系ステンレス
一般には18-8ステンレスとも呼ばれます。 
冷間加工だけで硬化し、熱処理では軟化します。(オーステナイト組織) 
冷間加工で微弱な磁性を有し、熱処理状態で非磁性です。 
表の機械的性質は板、固溶化 状態のものです
マルテンサイト系ステンレス
普通の鋼と同様に、焼入れによってマルテンサイト組織を生じて硬化します。
強く、硬いので410はタッピングなどに利用されています。
反面もろく、耐食性では他の系列のステンレスに劣ります。 
常温で磁性を持っています。。
フェライト系ステンレス
冷間加工で若干硬化しますが、熱処理して急冷しても硬化しません。
常温で磁性を有します。
析出硬化系ステンレス
2組合金、オーステナイト・フェライト系ステンレス

 

【ねじ製品に使われる主なステンレス鋼種一覧表】

鋼種 系統 主な成分 磁性 特徴 主な取り扱い
SUS303 オーステナイト系 18Cr-8Ni-高S 無し SUS304に硫黄(S)を添加し、、被削性、対焼付性を向上
切削品
SUS304 オーステナイト系 18Cr-8Ni 無し 耐食性に優れ機械的性質も良好。冷間加工によって硬化し、磁性が発生することもある 六角ボルト六角ナット
SUS304L オーステナイト系 18Cr-9Ni-低C 無し 耐粒界腐食性に優れるSUS304の炭素含有量を減らした極低炭素鋼。 六角ナット
SUS304N2 オーステナイト系 18Cr-8Ni-N-Nb 無し SUS304に窒素(N)とニオブ(Nb)を添加し、延性の低下を抑えながら強度を高めている ハイテンションワッシャー・
六角ナット
SUU305J1 オーステナイト系 18Cr-13Ni 無し SUS304のNi量を増やし、冷間加工性を改善。SUS305の低炭素鋼で加工硬化性が低く、冷間圧造用として用いられる ドリルねじ
SUSXM7 オーステナイト系 18Cr-9Ni-3Cu 無し 冷間加工性の良くないSUS304にやわらかい金属である銅(Cu)を添加して加工硬化性を抑え、冷間加工しやすくしたもの。耐食性や強度はSUS304と同等 小ねじ
タッピン
CAP
SUS316 オーステナイト系 18Cr-12Ni-2Mo 無し SUS304に耐食性の良いモリブデン(Mo)を添加。Niの増量により耐食性をよりよくしている 六角ボルト
六角ナット
マルワッシャー
SUS316L オーステナイト系 18Cr-12Ni-2Mo
C(0.03%以下)
無し 固い金属を(Cr,Ni)多く含み加工しにくいSUS316の炭素の量を低くすることで柔らかくし、加工しやすくしたもの
Lはローカーボンを示す
六角ボルト
六角ナット
マルワッシャー
SUS317L オーステナイト系 18-Cr-12Ni-3Mo-低C 無し 耐孔食性がSUS316より優れている染色設備材料など特に耐食性を求められる個所に最適 六角ナット
SUS321 オーステナイト系 18Cr-9Ni-Ti 無し SUS321には炭化物安定元素であるTiが添加されているので、溶接したまま使用でき、かつ450~850℃に加熱される用とに適します(熱交換器・蒸発器など) 六角ナット
SUS310S オーステナイト系 25Cr-20Ni 非磁性 耐酸化性がSUS309Sより優れていて、耐熱鋼として使われることが多い 六角ボルト
六角ナット
マルワッシャー
SUS329J4L オーステナイト系・
フェライト系
25Cr-6Ni-3Mo-N-低C 有り 二相組織(オーステナイト・フェライト)を持つステンレスで、耐酸性、耐孔食性に優れ、強度も高く、耐海水性もある 六角ボルト
六角ナット
SUS403 マルテンサイト系 13Cr-低Si 有り タービンプレートなどに用いられルステンレス。耐熱鋼。 六角ナット
SUS410 マルテンサイト系 13Cr 有り マルテンサイト系で鉄87%と多く、その中に含まれる炭素(C)も多いので熱処理ができます。 ドリルねじ
ASL516 マルテンサイト系 13Cr-Ni-M
(ミラクルステンレス)
有り 合金元素適正添加(適正比率)と熱処理の技術により、SUS304並の耐食性と、SUS410並の硬さを備えます。 サンコータイト
YUS550 マルテンサイト系 パーフェクトステンレス 有り 建材用高強度マルテンサイト系ステンSUS410と同等以上の強度とじん性。SUS304同等以上の耐食性がある ドリルねじ
SUS430 フェライト系 17Cr-C(0.08%以下) 有り 耐食性の優れた鋼種で磁性があり、業務用厨房、建築内装用、家電部品などに使用。耐食性はSUS304より劣りますが、磁性があるので、ねじ等の締結時の作業性向上に役立つ CAP
六角ナット
SUS630 析出硬化系 17Cr-4Ni-4Cu-Nb 有り Cuの添加で析出硬化性をもたせた鋼種。析出硬化により強度が上がるので、シャフト類、タービン類に用いられます。 高力六角ボルト
高力六角ナット

※磁性無し:オーステナイト系ステンレスは、一般的には非磁性ですが加工などによって内部構造に変化が生じ磁性を帯びることがあります。ただし耐食性に変わりはありません。

【ステンレス鋼の鋼種区分~化学成分~】

鋼種分類 鋼種区分 C Si Mn P S Cr Mo Ni Cu
オーステナイト系 A1
A2
A3
A4
A5
0.12
0.10
0.08
0.08
0.08
1
1
1
1
1
6.5
2
2
2
2
0.2
0.05
0.045
0.045
0.045
0.15~
0.03
0.03
0.03
0.03
16-19
15-20
17-19
16-18.5
16-18.5
0.7
-
-
2-3
2-3
5-10
8-19
9-12
10-15
10.5-14
1.75-2.25
4
1
4
1
マルテンサイト系 C1
C3
C4
0.09-0.15
0.17-0.25
0.08-0.15
1
1
1
1
1
1.5
0.05
0.04
0.06
0.03
0.03
0.15-0.35
11.5-14
16-18
12-14
-
-
0.6
1
1.5-2.5
1
-
-
-
フェライト系 F1 0.12 1 1 0.04 0.03 15-18 - 1 -

2、歴史

 インドのデリーの寺院にある3-4世紀に造られた鉄塔は、遙かな時を超えても表面に錆がないそうです。(最近は酸性雨の影響で危ういですが)他にもボンベイのWootz ウーツそれを加工した刀剣Damascusダマスカスなどの優れた性質をもつ鉄鋼が大昔から存在したそうです。それらの特殊鋼に興味をもち電磁誘導で有名なイギリスのファラデーやフランスのカルノーなどが19世紀に研究を始めました。
 20世紀初期にはフランスのギレー、ドイツのモンナルツ、ボルシャーらにより製法の基盤が確立し、工業材料として利用されていきます。大砲の砲身類の内張りとして研究され、最初の製品は刃物類だったようです。
...   人類の技術は、必ず最先端の武器から発祥しているのですね
 

 日本では、1919官営八幡製鉄所(新日本製鐵)が試作を始め、1933日本金属工業が13クロム、18-8ステンレス鋼板を量産化、陸軍の火薬工場硝酸製造装置に利用されたそうです。当時は「不金秀鋼(PCに漢字探せず金と秀あわせて一文字)」と呼ばれていたそうです。
 1945 昭和20年ごろからは、軍需に代わり肥料工業界で利用され、その後、化学繊維工業、石油、天然ガスプラント利用され、昭和40年に日本は世界第一位のステンレス生産国となりました。
 

3.特性&性質

耐食性・耐酸性

 ステンレスには、広範囲の環境条件下において不動態という基質に比べて科学的にきわめて安定な薄い皮膜が形成される能力があり腐食を防いでいます。
 ※鉄は鉄鉱石をコークスから得られる一酸化炭素COで還元してつくられます。
  そして、大気中の水分や酸素と反応して錆びます。
  2Fe+3H2O+3/2O2 →2Fe(OH)3[Fe2O3H2O(赤錆)]

 ステンレス鋼は同じ鋼の仲間ですがクロムやニッケルなどを含むことにより不動態を形成して錆を防いでいます。ただし、強い酸やアルカリ液で温度が高いときは腐食します。ステンレスだから絶対に錆びない というわけではありません。特に日常の中では18-8ステンレスと呼ばれるものが多く利用されていますが、海水などの塩分による錆びの発生が多いようです。(SUS316は塩水にも強い鋼種になります)

 髪止めの鉄のピンなどをステンレスの洗面台などに置きっぱなしにすると錆びたピンから「もらいサビ」することがあります。水により不動態の皮膜が遮蔽されるのも原因のひとつです。ステンレス製品は塩分や汚れを除いて表面を綺麗にしておくことが長持ちの基本ですね。

対候性

対候性はステンレスの大きな魅力のひとつです。
一般には18-8(304)が利用されますが、海の近くや工業地帯などの汚染大気には18-12Mo (SUS316)が利用されます。
チタンなどを配合してより対候性の良い鋼種も開発されているようです。

耐熱性

高温腐食によく耐え、高温強度も強いので耐熱用としても使用されています。
約400℃くらいまでの高温化でも強度が大幅に落ちることはありません。(約30%減)

焼き付き防止対策が必要

ステンレスは熱伝導率が低く(SUS304の場合:鉄の1/3)
熱膨張率が高い(SUS304の場合:鉄の1.5倍)

鉄と同じ程度の摩擦でも熱が発生しやすく、その熱による変形や歪みも大きくなります。

【焼き付き防止対策】
フッ素系樹脂(無色透明)を表面にコーティングすると ねじ部の摩擦が小さくなり、かじり防止となります。

【焼き付き(かじり)とは?】

ステンレスのボルトやナットを電動機などで締め付けると、ねじのはめ合い部で摩擦による熱が発生します。その熱によってねじ部が膨張し、雄ねじと雌ねじが密着して動かなくなる状態を「かじり(焼き付き)」と言います。 トルク(回転力)によっては、ボルトが折れることもあります。


4、機械的特性

  • 引っ張り応力に対して どの程度強いかを示す引っ張り強さ、0.2%耐力
  • 延性を示す伸び、絞り、曲げ
  • 硬さ
  • じん性を示す衝撃値
  • 高温での強さを評価する引っ張りクリープ強さ、破断強さ


評価される機械的な性質はステンレスの種類と温度により違いがあります。

鋼種分類 鋼種区分 強度区分 引張強さ
Rm
最小MPa
永久伸び
0.2%耐力
Rpo.2
最小MPa
破断後の伸び
A
最小mm
オーステナイト系 A1
A2
A3
A4
A5
50
70
80
500
700
800
210
450
600
0.6d
0.4d
0.3d

鋼種分類 鋼種
区分


区分
引張強さ
Rm
最小MPa
永久伸び
0.2%耐力
Rpo.2
最小MPa
破断後の伸び
A
最小mm
硬さ
HBW 
硬さ
HRC
硬さ
HV
マルテンサイト系 C1 50
70
110
500
700
1100
210
410
820
0.2d
0.2d
0.2d
147-209
209-314
-
-
16-34
36-45
155-220
220-330
350-440
マルテンサイト系 C3 80 800 640 0.2d 228-323
21-35
240-340
マルテンサイト系 C4 50
70
500
700
250
410
0.2d
0.2d
147-209
209-314
-
16-34
155-220
220-330
フェライト系 F1 45
60
450
600
250
410
0.2d
0.2d
128-209
171-271
-
-
135-220
180-285

オーステナイト系鋼種区分の最小破壊トルク

ねじの呼び 強度区分50 70 80
M1.6 0.15 0.2 0.24
M2 0.3 0.4 0.48
M2.5 0.6 0.9 0.96
M3 1.1 1.6 1.8
M4 2.7 3.8 4.3
M5 5.5 7.8 8.8
M6 9.3 13 15
M8 23 32 37
M10 46 65 74
M12 80 110 130
M16 210 290 330

比較参考資料

材料 引張強さkgf/mm2 硬さHB
ステンレス鋼板SUS304 59 150
普通鋼版SPCC 33 70
アルミニウム板1100-0 9.5 25
純チタン 40 120

5、高温における機械的特性

各鋼種とも500度まではかなり高い引っ張り強さを示しますが、それ以上は強度の低下が著しくなります。


高温による引っ張り強さの推移

温度 18-8 炭素鋼
100度 約85% 約102%
300 75 95
500 70 50
600 60 40
700 40 30
800 30 20

 

6、低温における機械的特性

18-8系は極低温においてもじん性の低下がきわめて少なく、シャルピー衝撃値も100~-200度で80~100ft-1bにあり、SUS304では-269度における引っ張り強さが150kgf/mm2を示し、伸びも30~40%と優れています。

7.加工、表面処理 

ステンレスの主な表面仕上げ

名称 表面仕上げの状態 表面仕上げの方法 主な用途
No.1 銀白色で光沢がない 熱間圧延後、焼鈍→酸洗で仕上げたもの 表面光沢を必要としない用途に使用
No.2D 灰色で光沢が少ない 冷間圧延後、焼鈍→酸洗で仕上げたもの 一般用材、建材
No.2B No.2D仕上げよりなめらかで、
やや光沢のある仕上げ
No.2D材に鏡面に近いロールで軽く冷間圧延(スキンパス圧延という)をしたもの 一般用材、建材(市販品の大部分はこの仕上げ品)
BA 圧延後の表面を引き継ぐが
一般に光沢のある表面仕上げ
冷間圧延後、光輝焼鈍(無酸化焼鈍)を行ったもの、光沢を高めるため、スキンパス圧延をすることもある 自動車部品、家電製品、厨房用品、装飾用
No.3 光沢のある、
粗い目の仕上げ
P100~P120番のベルトで研磨したもの 建材、厨房用品
No.4 光沢のある
細かい目の仕上げ
P150~P180番のベルトで研磨したもの 建材、厨房用品、車両、医療器具、食品設備
#240 細かい目の研磨仕上げ P240番程度のベルトで研磨したもの 厨房器具
#320 #240よりさらに
細かい目の研磨仕上げ
P320番程度のベルトで研磨したもの 厨房器具
#400 鏡面に近い光沢、
若干のすじがある
P400番バフによって研磨仕上げしたもの 建材、厨房器具
HL(ヘアライン) 長く連続した
研磨目を持った仕上げ
通常P150~P240番の砥粒研磨ベルトで長い研磨目をつけたもの 建材のもっとも一般的な仕上げ
バイブレーション 無方向性ヘアーライン研磨仕上げ 多軸水平研磨により、無方向性のヘアーライン仕上げしたもの 建材
No.7 硬度の反射率を持つ
準鏡面仕上げ
(研磨目あり)
P600番の回転バフにより研磨したもの 建材、装飾
No.8(鏡面) 鏡に近い仕上げ
(研磨目なし)
最終研磨は鏡面用バフによる 建材、装飾、反射鏡
ダル 2Dより目の粗い
艶消し仕上げ
艶消しロールで圧延あるいはショットブラストして表面に細かい凸凹をつける 建材
エンボス 凸凹の浮出し模様
のついた仕上げ
エッチングまたは機械的に模様を彫り込んだエンボス用ロールで圧延したもの 建材、装飾
エッチング 化学処理により模様
漬けられた仕上げ
適当な意匠図案を耐酸性の被覆材で覆い、そのほかの部分を腐食液(塩化第2鉄溶液)で腐食溶解したもの 美術品、建材、厨房器具
化学発色 数種の色調から得られ、密着性、耐摩擦性が良好 科学的に発色したもので、硫酸に無水クロム酸を加えた水溶液(80~90℃)に浸漬着色後、硬膜処理をほどこす 建材、厨房用品
酸性黒色 数種の色調が得られるが、密着性、耐摩擦性は十分ではない 硫酸に酸化剤を加えた水溶液(90~100℃)に浸漬する 化学部品、美術品
酸化着色 数種の色調が得られるが、密着性、耐摩擦性は十分ではない 硫酸に酸化剤を加えた水溶液(90~100℃)に浸漬する 化学部品、美術品
塗装ステンレス 数種の色調が得られ、加工コストが安い 合成樹脂系塗料を焼付塗装する 建材、厨房器具

 オーステナイト系は伸び値が大きいため過酷な曲げ絞り加工を行っても割れにくいですが、フェライト系やマルテンサイト系は割れやすい性質があります。
 切削加工には303などの快削ステンレス鋼を利用します。
一般のオーステナイト系は加工硬化が激しく、熱伝導が悪いので工具も摩耗しやすく扱いにくいものになります。
 溶接加工では、オーステナイト系では普通鋼よりも熱膨張計数が50%大きく熱伝導率は半分以下ですので、工作物がひずんだり割れができたり内部残留応力が大きくなったりしますので、特性にあった溶接方法をとることが大切です。

 また、オーステナイトの場合は、450~850度に長時間さらされると、ステンレスの中のクロムが炭素と結合し結晶内からでて、結晶粒の間にたまる性質があり、その部分のクロム量が減ると耐食性が劣化してしまいます。

耐食性を保つためには、不動態皮膜を保持することが大切で表面を綺麗にすることが必要です。
ステンレスの研磨には、ベルト、バレル、バフなどの機械による研磨と電解研磨が利用されています。

ステンレスへの電気メッキは、表面の不動態皮膜を除去する活性化という処理をして、すぐにメッキを施します。活性化処理は10~30%塩酸に浸ける方法と、20~50%硝酸を70度に加熱して浸ける方法があります。ステンレス表面に高温で金属または非金属を拡散浸透させる拡散メッキのアルミ拡散メッキは高温腐食にきわだった抵抗力をもちます。また、PVD(物理蒸着)CVD(化学蒸着)といった方法でも表面処理されるようになりました。 


8、用途

ネジをはじめ、ありとあらゆるところに使われています。
目立つところでは、電車のステンレスカー、タンクローリー車、身近な所では腕時計のウラ蓋、フロや流し台、手すり、そして、病院の各器具や施設、工場のプラントや食品設備など
 
そして、焼き入れのできるマルテンサイト系では刃物、タービンプレード、シャフト、ノズル、ベアリング、タッピングやドリルビスの全体、または刃先に利用されています。


ステンレスを上手に使うポイントは 綺麗にしておくことです
サビを防ぐ不動態皮膜を造るためには、表面が綺麗で酸素が供給されていることが重要です。
仮に錆びてしまっても、その部分を細かい紙ヤスリ等で削って洗い流せば自身の力で復活させることが出来ます。

一般のボルトや小ねじ向けステンレスはXM7が利用されています。
これは鉄に18%のCr(クロム)と8%のNi(ニッケル)を加えて合金化したステンレス鋼(SUS304)にCu(銅)を少量加えて冷間加工性を向上させたステンレス鋼で耐食性はありますが、硬度、強度を熱処理により上げられないためタッピングには不利です。


タッピング向けに多く利用されるステンレス材料はSUS410になります。
SUS410は鉄に13%のクロムを合金化したもので、残り87%は鉄のためにC(炭素)が多く含まれ熱処理により表面の硬度とねじ自体の強度を持たせることができます。
ただし、鉄の成分が多いことから耐蝕性が悪くなってしまいますので錫メッキ等の表面処理をして利用されることがおおくなります。

そこで、より強い耐蝕性、強度などを狙い 新ステンレス鋼種の開発が進められています。 
新ステンレス鋼種 ミラクルステンレス  ミラクルステンレス製品
外部使用環境の錆びの発生しやすいところで、相手板材が硬い鉄板やステンレス鋼板などの場合はミラクルステンレス製タッピングをお勧めします。

 

9、高機能ステンレス

より強い耐蝕性、強度などを狙い、新ステンレス鋼種の開発が進められています。 
 

  • 1.PS-550  丸エム製作所製
  • 2.エコシリーズ 第一工業㈱製
  • 3.ASL516 ミラクルステンレス 日立金属㈱製
  • 4.PS-550パーフェクトステンレス(より強さと耐食性を追求した新種のステンレス鋼)
  • 5,SUS304CUN 高強度ステンレスファスナー A2オーステナイト・ステンレス・スティール

 

タッピングには従来マルテンサイト系のSUS410が利用されてきました。
硬さがあってオーステナイト系で一般に利用されるものより良いのですが、オーステナイト系(18-8系の304(XM7))に比べ耐食性で劣りました。
 
正確な表現ではありませんが、410は鉄の成分が普通のステンレスより多いので熱処理で硬くできてドリルねじの歯やタッピングには便利だが、その分錆びやすいと思っていただければわかりやすいでしょうか。このため410で製作されたタッピングやドリルビスなどではスズメッキなどの表面処理も施すことが多いと思います。
 

今回開発されたステンレス鋼 PS-550 パーフェクトステンレスは、強さと耐食性の両方を兼ね備えた夢の鋼材です。まだ、広く普及していませんが 今後 多くの場所で利用されていくと考えられます。

特長

高強度
410は表面硬度は高いが 心部は低いためタッピングの際に変形することがありますが、パーフェクトステンレスは芯部まで硬度があるので高い締結力を有します。

高耐食性
SUSXM7、304と同等以上の耐食性を示し、塩害、酸性雨などのSUS410では対応できなかった環境にも利用できます。ただし、SUS316には劣ります。  

高じん性
一般にひっぱり強さや硬さの強い材料は、じん性がなく「もろい」性質を持つのが普通ですが、パーフェクトステンレスは高いじん性を持っていますので 頭とびなどが起き難くなっています。

 

★エコシリーズ       第一工業㈱製
強度区分10.9をクリアする高強度、高耐蝕ステンレスボルト
SUS304,316を基材とした強度区分10.9をクリアする高強度、高耐蝕ステンレスボルト
従来よりワンサイズ縮小したボルトで利用できることにより軽量化、省資源化
SUS304,316と電位差なし、非磁性、
カタログより抜粋
受注生産品

10、316と316L

高耐食性ステンレスとしてねじ材料にはSUS316が利用されてきましたが
現在ではSUS316Lが多く利用されています。
316Lは316の低炭素鋼です。非磁性で高耐食性を有するのも同じですが
規格上MAX強度が異なります。
成分で見ると316の炭素Cが 0.08%以下 SUS316LがC 0.03%以下になります。
ニッケルも多少異なり316が10~14%316Lが12~15%となり、成分的にはラップしている部分が多いです。
316と316Lを特に区別しない国もあるようです。
SUS316では生産していない品種もありますので注意してください。



●A2-70強度保障ボルト・ナットについて


現在、一般的に流通している六角ボルトのほとんどはJIS1180付属書JA規格になる為、A2-70の六角ボルトに関しましても付属書規格の製品が流通しています。

一部のボルトメーカーではJIS本体規格のA2-70強度保障ボルトを生産している為、弊社では本体規格のA2-70強度保障六角ボルトもご提供可能です。
製品ラインナップは付属書規格の方が充実していますのでお探しのサイズがあれば、是非一度ご相談ください。

A2-70強度保障六角ナットに関しては、1種のみは流通していますが、それ以外の2種や3種などはA2-70強度保障六角ナットはほとんど流通していません。

A2-70保障のボルト・ナットには「A2-70」という刻印が付きます。

ちなみにナベ小ねじにもA2-70保障品があり、一般品と区別ができるように頭部に2つ小さなくぼみがあります。
弊社ではA2-70保障の小ねじ類も数多く取り扱いしております。

ページ上部へ戻る